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なぜ陸上にサンゴの住処が必要なのか

弊社の運営するさんご畑は、おそらく世界でもめずらしい珊瑚の養殖施設です。

施設内の池には珊瑚だけでなく、たくさんの魚や海の生き物たち、陸上にはさまざまな植物や昆虫、動物たちが独自のちいさな生態系を築いて生活しています。

彼らの大半はさんご畑の中で自然に生まれ育ったもので、その数は社内のだれも正確には把握できないほどの多さです。

今回は、なぜ陸上にサンゴの住処が必要なのかを書いていこう思います。

サンゴが環境の変化のスピードに追いつけない

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上のグラフは、哺乳類、鳥類、両生類、造礁サンゴの生存率を示したものです。

RLI(Red List Index)
レッドリストインデックス(RLI)は、種の全体的な絶滅リスクの傾向を示すもので、各国政府が生物多様性の損失を減らす目標に向けた進捗状況を把握するために使用されています。


RLI値が1.0になる場合、すべての種がLeast Concern(近い将来に絶滅する見込みがない)と認定されたことになり、逆にRLI値が0ならすべての種が絶滅したことになります。

1995年以降の造礁サンゴの生存率は、その他のグループとくらべても急激にさがり続けていることがわかります。

海水温は地球全体で上昇しつづけていて、過去わずか25年間で、海には広島の原爆36億個分に相当する熱が加えられたそうです。

世界のサンゴ礁のおよそ70~90%は、今後20年以内に海洋の温暖化や酸性化、海洋汚染などの原因により絶滅するとされていて、2100年までには地球上のサンゴの生息に適した環境がほとんどか、完全になくなると言われています。

Sea Seedが養殖している種類の中には変化する海に適応し強くなった種もいますが、近年は海に植え付けられるとなかなか生きていけなくなった種類がいることも事実です。

海の変化があまりに速過ぎて適応することもできず、動けない動物であるサンゴは、逃げ出すこともできません。

サンゴを取り巻く環境は年々きびしくなっていく一方なので、今後は生息に適した環境を人工的に用意する必要があるのだと思います。


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